研究課題/領域番号 |
20560716
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
久保 真治 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力水素・熱利用研究センター, 研究副主幹 (20355019)
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研究分担者 |
長家 康展 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (20391310)
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キーワード | 熱化学水素製造法 / ISプロセス / ガンマ線 / 中性子線 / モンテカルロ法 / プラント制御 / ヨウ化水素 / ヨウ素 |
研究概要 |
原子力エネルギーを用い大規模水素製造が期待できる熱化学法ISプロセスを実現するためには、化学プロセスの安全性、操作性を確保する上での必須技術である溶液組成計測法の開発が重要課題である。複数の放射線をプローブとする組成計測方法(マルチ放射線プローブ法)を用いることにより、従来法には無い優れた特徴(多成分溶液を連続計測、センサーが非接触で高温高腐食環境に耐える、簡便な実施、多様なプロセスに適用)を持つオンライン組成計測法の確立が期待できる。ISプロセスの主要流体のブンゼン反応硫酸相溶液(H_2SO_4-H2_O-HI-I_2溶液)において、既知組成に対する計測器応答を定式化した。ガラス製メスシリンダー(内径約41mm)内の供試溶液(室温)に対し、側面から測定した二種類のガンマ線密度計データ(セシウム線源0.6MeV、バリウム線源0.3Mev)を評価した。比較的強いガンマ線(セシウム)で得た密度値に対するIの溶液中混入の影響は小さく、また、弱いガンマ線(バリウム)のそれは重い元素であるIの影響を大きく受けることを利用し組成情報が得られるように工夫した。バリウムによる測定密度データをセシウムによる測定密度値およびH_2SO_4-H2O系(HI-I_2を除いた)濃度の関数として回帰直線を作成することができた。すなわち、従来、重い元素のヨウ素が混入した硫酸溶液密度は混入無しの溶液に比して高い密度値を示すが、ヨウ素混入と硫酸濃度の影響を区別することはできない。一方、今回の方法によれば、二つのガンマ線密度計の応答値からただちにH_2SO_4-H2O系の濃度情報を得ることができる。 この結果は、マルチ放射線プローブ法によってブンゼン反応硫酸相溶液組成が定量可能なことを示すものである。
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