研究課題/領域番号 |
20560718
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
尾崎 純一 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30214125)
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研究分担者 |
荒井 正彦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60125490)
熊谷 治夫 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30234511)
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キーワード | カーボンアロイ / 担持金属触媒 / 炭素析出 / メタン改質 / 核磁気共鳴 |
研究概要 |
本研究は炭素材料に異種元素やナノ構造を導入した「カーボンアロイ」を担体とすることにより、それらが触媒金属に及ぼす相互作用「金属-単体相互作用」を通してその自在制御を行うための材料化学的必要条件を見出す研究を行うことを目的とする。具体的には、カーボンアロイがその上に担持された金属粒子の炭素析出耐性に及ぼす影響の検討を行うとともに、水素分子をプローブとした核磁気共鳴法、電子顕微鏡観察、電子状態観察により行う。 平成20年度は大きさ20〜30nmの中空構造を持つグラフェンからなるナノシェルカーボンについて以下の検討を行った。(1)調製条件が構造および核磁気共鳴的な特性に与える影響の検討、(2)ナノシェル状に担持されたニッケル触媒の炭素析出特性への影響の検討。 ナノシェルカーボンの調製は、コバルトフタロシアニンの添加量を金属基準で1〜15%まで変化させる方法、およびコバルトフタロシアニンの量を3%と固定し、その炭素化温度を600〜1000℃と変化させたものの2通りで行った。これらについて、XRDおよびTEM観察を行い試料性状の把握を行つた。 上述のナノシェルカーボンを高圧水素に暴露し、その吸着水素に対するH-NMR測定を行った。その結果、ナノシェルカーボンには通常の炭素材料、例えばカーボンブラックや活性炭には見られない新しい状態の水素が存在すること、そしてそれが導入された金属というよりもナノシェルの炭素構造によりもたらされることを明らかにし、現在この結果を論文にまとめているところである。 さらに、ナノシェルカーボン上にニッケル触媒を担持し、そこへの炭素析出を検討した。その結果、同程度の表面積を有するカーボンブラック状に担持したニッケルに比べて炭素析出反応の抑制されていることを見出した。これは担体の相違がニッケル触媒に及ぼす相互作用の相違に基づくものと考えられ、今後の検討課題を明確にすることができた。この点についても論文としての公表準備を進めているところである。
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