研究課題/領域番号 |
20560718
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
尾崎 純一 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30214125)
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研究分担者 |
荒井 正彦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60125490)
熊谷 治夫 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30234511)
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キーワード | カーボンアロイ / 担持金属触媒 / 炭素析出 / メタン改質 / 核磁気共鳴 |
研究概要 |
本研究は炭素材料に異種元素やナノ構造を導入した「カーボンアロイ」を担体とすることにより、それらが触媒金属に及ぼす相互作用「金属-単体相互作用」を通してその自在制御を行うための材料化学的必要条件を見出す研究を行うことを目的とする。具体的には、カーボンアロイがその上に担持された金属粒子の炭素析出耐性に及ぼす影響の検討を行うとともに、水素分子をプローブとした核磁気共鳴法、電子顕微鏡観察、電子状態観察により行う。 平成21年度は、窒素およびホウ素をドープしたナノシェルカーボンの調製、ニッケル触媒の担持、それを用いたメタン乾式改質反応の実施を行った。 具体的には、アンモオキシデーションを適用することにより窒素を、そしてBC13からの気相ドープを用いることでホウ素を、それぞれドープしたナノシェルカーボンを調製した。そこに、ニッケル触媒を担持し、メタン乾式改質反応(CO2+CH4→2CO+2H2)をTG-MSにより検討した。その結果、未ドープ、窒素ドープおよびホウ素ドープナノシェルに担持されたニッケル触媒は、異なる反応挙動を示すことを見出した。すなわち、メタン改質反応にカーボン担体を用いると、導入したCO2によるガス化反応(C+CO2→2CO)、メタン分解による炭素析出と水素発生反応(CH4→C+2H2)、そして生成したCOの不均化反応による炭素析出(2CO→C+CO2)の3反応が競合し、その選択性が担体により変化することを見出した。これらの結果は、本研究で目的としている「金属-担体相互作用」を積極的に利用した担持金属触媒の活性制御の可能性を強く支持しているものである。 一方、ナノシェルへの高圧水素吸着NMR測定では、NMRプローブへの試料充填量、水素導入圧力を変化させる検討を実施した。その結果、ナノシェルに吸着した水素が気相に存在する水素とは異なる化学状態を取るにとを裏付けるデータを得ることができた。
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