研究概要 |
高効率なエネルギー変換が可能な燃料電池への期待が高まっているが、その燃料の水素は天然資源として存在しないので、変換製造しなくてはならない。水の太陽光による分解が実用的化されるまでは、メタンなどの炭化水素の変換により得る必要がある。炭化水素の水蒸気改質はすでに確立された技術であるが大規模な設備以外では効率が低い。本研究はメタンの部分酸化を金属酸化物の格子酸素を用いてに示すように行おうとするもので、通常の部分酸化反応では酸化剤に純酸素が必要であるが、本方式によれば空気を用いて行うことが出来るため、小型の水素発生装置に用いることが出来る。CH_4+M_xO_yCO+2H_2+M_xO_<y-1>{1}。初年度において、Fe_2O_3の格子酸素がRh_2O_3と複合することによりうまく利用でき、高い格子酸素転化率と、CO,H_2への高い選択性を与えることを見いだしたが、本年度は高価なRhの使用を避けるための新たな酸化鉄への添加剤の検討を行い、Fe_2O_3-MgO-Cr_2O_3の複合酸化物がRhを含む触媒と同じ以上の活性・選択性を発揮することを見いだした。触媒の組成がFe_2O_3:MgO:Cr_2O_3=2:0.6:1のときに、反応温度800℃においてメタン転化率75%,Fe_2O_3格子酸素転化率39%の最大の活性を示した。このとき触媒のFe_2O_3は(1)式に示すように3価から低原子価の酸化鉄または金属鉄にまで還元されるが、反応後空気を用いて酸化することによりのように初期の酸化状態に戻すことができ、メタンの部分酸化(1)と触媒の再酸化(2)を繰り返すことにより、純酸素を用いずに合成ガスを製造できることに成功した。 M_XO_<y-1>+Air(O_2)M_xO_y+N_2(2)。
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