特徴的な光触媒作用に、金属あるいは金属酸化物表面の様々な熱触媒作用(酸塩基触媒作用、酸化・部分酸化触媒作用、脱水素触媒作用、異性化触媒作用、重合触媒作用など)を盛り込むことで、より高度・高次な熱-光協奏機能触媒作用を発現させることを目的とした。チタンはクラーク数(Klarke number)が10番目に大きく、地中に多く存在している元素である。最もクラーク数が大きい酸素との化合物である、酸化チタン(TiO2)は化学的に安定な化合物であり、また、人体や環境に対して無害である。さらに、硬度が高く耐摩耗性に優れているという特徴ももつ。このようにTiO2は資源的に有利な要素をもっているので、まず、TiO2の光触媒能を維持しながら酸触媒能を高める検討を行った。ついで、TiO2への異元素導入による高活性化を検討した。 空気雰囲気、酸化チタンへの光照射-加熱(100〜150℃)環境下、メタノール蒸気が比較的高い転化率(40%)においても高い選択率(90%)でギ酸メチルへ変換されることを見いだした(2CH3OH+O2→HCOOCH3+2H2O)。さらに、少量のパラジウムを担持することによりギ酸メチルの収量が増加することを見いだした。この反応は、ギ酸とメタノールの反応(エステル化反応)あるいはホルムアルデヒドの二量化で進むと思われた。in situ赤外分光法により詳細に反応を追尾した結果、この反応は後者の経路で進行することを明らかにした。
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