研究概要 |
工業化学および石油化学の分野において触媒はその物質変換を担う重要な材料である。通常、触媒と呼ばれるものは熱触媒(thermocatalysis)を示し、反応速度が大きいが、多くの場合加熱が必要である。一方、光触媒は非常に強い酸化力をもち、反応は室温で進行するが、反応速度は小さい。光触媒と熱触媒の特徴を併せもつ触媒材料を開発し、両触媒作用を協奏的に機能させることにより優れた総合的触媒機能が期待できる。昨年度、光照射下、酸化チタン上において、メタノールの酸化的脱水素および二量化反応が進行して室温および523Kにおいて高い選択率(90,88%)でギ酸メチル(HCOOCH_3)が生成することを見いだした。本研究では、基質をエタノールに換えて、その変換反応を評価した。 光および熱触媒として酸化チタン(触媒学会参照酸化チタンTIO-8)を用い、これをガラス表面(48cm^2)にコーティングし、400℃で熱処理後反応に用いた。酸化チタンのコーティングには酸化チタンの分散液を用いた。外部光照射-内部加熱型反応装置を自作し、エタノールの変換反応に用いた。Air雰囲気下で20-24μmolmin^<-1>のメタノールを流通させた。光源にはブラックライト(1800μWcm^<-2>)を用いた。反応生成物はGCを用いて分析した。 本流通条件下、酸化チタンは熱触媒作用を示さなかった。UV照射条件下ではエタノールは転化し、アセトアルデヒドが選択的に得られた(エタノール転化率30%、選択率ほぼ100%)。二段階で反応が進行するメタノールの反応と異なるが、エタノールの部分酸化反応が高選択的進行するという興味深い結果が得られた。温度を上げるにしたがい、選択性は維持されたまま転化率は増加し、結果的に収率は40%に達した。
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