研究課題
免疫グロブリンA(IgA)をモデルケースとして界面活性剤を含んだ溶液で希釈し、酵素免疫測定法(ELISA)を行なった。その結果、高濃度(1-7%)の非イオン界面活性剤(Tween20)、イオン界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)を用いた場合、イムノクロマト法での結果とは、異なり測定感度が低下する事がわかった。同様にSPR法(BIACORE)により、界面活性剤の抗原抗体反応に対する影響を調べたところ、イオン界面活性剤では、抗体に抗原が特異的結合しないことが確認できたが、非イオン性界面活性剤では、抗体に対する抗原の結合量が大きくなることが確認できた。これは、界面活性剤の濃度を濃くすると大きくなり、BIACOREでの値ではあるが純水に比べ7%のTween20を含んだ溶液で抗原抗体反応を行なうと2倍の抗原(IgA)が結合していることが確認できた。これらの現象の違いは、ELISAでは抗体と基材(プレート)の結合が物理吸着であるのに対して、BIACOREでは基材(金薄膜)に対して化学的に抗体が結合しているためにELISAでは基材から抗体が界面活性剤の影響で剥がれるが、BIACOREでは剥がれずに測定できるためであると考えられる。Tween20を高濃度に含む溶液で抗原抗体反応を行なうと抗体に対する抗原の結合量は、増加することが確認できた。しかしながら、抗体の特異性に関しては、イムノクロマト法でバックグラウンドが増加する結果より低下していると考えられる。また、イムノクロマト法で用いるテストストリップでのTween20の溶液の展開による分布を測定したところ、1-3%の低濃度では差が見られないが5,7%の濃度になるとゆっくりとストリップ上を展開していることが確認できた。これらは、一般に使われている長さ4cmのストリップでの検討であり、長いストリップでは低濃度でも分布が確認できると予想される。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Science and Technology Advance Materials 10
ページ: 034604(5)