研究概要 |
本研究は、ミッション途上に存在する宇宙塵を推進剤にすることで地球から持参する推進剤の大幅な低減を図る新しい宇宙推進システムについて,宇宙塵を模擬した固体微粒子の加速と供給機構の実験を実施して,その実現の可能性を明らかにすることを目的としている.平成21年度は,昨年度からの宇宙塵加速における最適な帯電法について理論面から検討(犬塚担当)および効率のよい固体微粒子の供給装置についての検討(國中・山極担当)を継続しつつ,昨年度の解析・帯電実験(山極担当)を踏まえて,プラズマを介した帯電方法を採用し,かつ,磁場によるプラズマ閉じ込めに工夫を施した固体微粒子加速装置およびその推力測定装置を設計製作し,帯電粒子の加速性能を測定した(山極担当).現段階では,確認実験のレベルであり,微粒子供給装置等旧来のものを使用しており推進機として最適化されているわけではないため,得られた推進機性能は低いが,様々なパラメータに対するプラズマ物性値をプローブ測定による明らかにし,それらと帯電・加速状態の関係を検討することで,微粒子供給方法,帯電方法を含む改善点を明らかにした.来年度には,これらの結果を反映して推進機の帯電室・固体微粒子供給装置に改良を施し,推進機としての性能向上を目指す.今年度の研究成果については、卒業論文・修士論文に加え,本報告書記載の通り,加速性能,帯電方法,粒子供給装置について雑誌論文1件,国際学会を含む学会発表8件の成果発表を行った.
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