研究概要 |
本研究は、ミッション途上に存在する宇宙塵を推進剤にすることで地球から持参する推進剤の大幅な低減を図る新しい宇宙推進システムについて,宇宙塵を模擬した固体微粒子の加速と供給機構の実験を実施して,その実現の可能性を明らかにすることを目的としている.平成22年度は,20,21年度からの宇宙塵加速における最適な帯電法について理論面から検討(犬塚担当)および効率のよい固体微粒子の供給装置についての検討(國中・山極担当)を継続しつつ,昨年度の解析・帯電実験(山極担当)を踏まえて,プラズマを介した帯電と磁場によるプラズマ閉じ込めに工夫を施した固体微粒子加速装置およびその推力測定装置を利用し,さらには重力に依存しない新しい推進剤供給装置を設計・製作し,帯電粒子の加速性能を測定した(山極担当).その結果,帯電効率は70%以上と理論値に近い値が達成でき、推力値も従来に比べ1桁近く上昇させることができた。電源と放電の関係で高電圧が掛けられないため、推力・比推力値は目標値を得てはいないが,従来に比べて大幅な性能改良を諮ることができ,推進機としての可能性を高めることができた。今年度の研究成果については、卒業論文・修士論文に加え,本報告書記載の通り,加速性能,帯電方法,粒子供給装置について雑誌論文1件,国際学会を含む学会発表5件の成果発表を行った.
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