本年度は、前半で、昨年度に製作・試運転した燃焼器に簡易水冷システムを付加し、合わせて、着火に失敗した際の緊急自動停止システムを構築した。この自動停止システムは、運転時に発生するパルス的な燃焼器の振動を利用したものである。これらを整備した結果、運転周波数200Hz、動作継続時間5秒の運転が安全にできるようになった。 また、年度後半で、燃焼器下流に設置するバッファ室とバッファ室出口部を製作し、それらの効果を調べる実験を開始した。バッファ室は、単純な円筒形状(内径68mmφ)とし、燃焼器直後に設置した。また、バッファ室直後に燃焼器と同じ内径(16mmφ)の円筒管を設置し、これをバッファ室出口部とした。実験では、排気噴流を毎秒1200コマの高速度ビデオカメラで真横から直接撮影し、バッファ室がある場合とない場合とで結果を比較した。なお、バッファ室設置により運転安定性がやや低下したため、運転周波数を33Hzに落とし、実験を行った。実験の結果、次の2点が明らかになった。まず、出口部に特にノズルを設置しなくても、ある時間幅、超音速の排気噴流が得られ、バッファ室の有無に関わらず、排気噴流中にショックダイヤモンドが明確に観察された。次に、バッファ室の設置により、バッファ室が無い場合に観察された爆発的な排気が見られなくなり、同時に、超音速噴流が観察される時間が長くなった。出口にノズルを設置しなくても超音速噴流となる理由は、出口において大気圧よりも高い圧力でチョークしているためと考えられる。また、バッファ室の設置によって爆発的な排気が見られなくなり、同時に、超音速の排気噴流が観察される時間が長くなったのは、準定常噴流に近づいている証であり、研究目的達成につながるものと考えられる。
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