研究概要 |
本研究は,これまで有効な解決策が無かった月・惑星着陸機の夜間保温方法に対し,太陽光周期加熱環境を利用したスマートかつ現実的な熱制御手法を提案,実証することを目的とする。本年度は,昨年度開発したループヒートパイプの高性能化と月面・地下環境を模擬した実験システムの構築,ならびにレゴリスシュミラントの熱物性計測を中心に行った。以下に本年度成果を示す。 ●ループヒートパイプにベヨネット管を設け,動作信頼性の向上を図った。またウィックとエバポレータのシール性を向上し,良好な動作特性を得た。また,マルチエバポレータに向けた課題抽出ならびにリザーバ設計を行った。 ●現有の熱真空試験チャンバーに温度コントロールパネルを新たに設置し,アポロデータに基づいて月表面環境(-180℃~+120℃)を模擬可能な実験システムを製作した。月面では昼と夜が30日周期で訪れる。最終的には実時間スケールでの実験を行うが,機能検証実験においては熱物性値を調整し,数時間周期での特性評価が行えるよう,周期加熱条件ならびにレゴリス代替物を調整した。 ●擬似レゴリスの熱物性値を恒温槽を用いて詳細に評価し,熱伝導率,比熱,密度の温度依存性を同定するとともに,月表面および地下の熱環境を予測可能な物理モデルを構築した。
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