研究概要 |
海洋における科学調査や水中構造物の建設・管理,汚染物質の流出防止,サルベージ作業の補助等水中機器に対する期待は非常に大きい.特に自律型水中ロボット(AUV)に着目すると,複数のAUVを用いた広範囲観測調査網への展開や海中からの不審者侵入の監視等,様々な活躍の場が存在する.上記の需要を満たすには,ロボット本体の開発のみならず水中作業を行うためのマニピュレータ開発が重要となる. 本年度は,小型水中ロボット「DaryaBird」の制御系設計,行動制御プログラムの開発,及び水中マニピュレータの設計・開発を行った.本ロボットは全長約1m,重量30kg,スラスタ5基と重心移動機構を備えた6自由度の運動制御可能な小型軽量の自律型水中ロボットである.開発コンセプトとして,信頼性とメインテナンス性の向上,電子制御部のモジュール構造化を行い,水中ロボットで問題であったケーブル配線によるトラブルが減少し,プログラム開発が容易になった.また,圧力容器の構造として,複数のシリンダを複合し水中コネクタを中央部に配置した新たな構造を開発した(特許申請中).1つのマニピュレータは4リンク構造のワイヤ駆動式としており,1つのアクチュエータにより制御される.3対のマニピュレータにより対象物の把持を行う.実験により,直径20cm長さ1mの円柱を把持できることを確認した. 上記の耐圧容器設計,及び制御回路基板のモジュール化は,水中ロボットの開発を効率化するための新たな設計コンセプトであり,本コンセプトの導入により水中ロボットの高機能化が加速することが期待される.水中マニピュレータは1つのモータで制御できるため,システムの小型化が可能である.
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