研究課題/領域番号 |
20560765
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
乗松 孝好 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授 (50135753)
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研究分担者 |
古河 裕之 レーザー技術総合研究所, 理論・シミュレーションチーム, 副主任研究員 (70222271)
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キーワード | レーザー核融合炉 / 液体壁 / アブレーション / エアロゾル |
研究概要 |
平成21年度は昨年度に引き続き、シミュレーションコードの開発、一つの蒸発源を用いた実験での放電特性の理解、平面蒸発源を用いた飛散物の方向分布の測定、放電プラズマ温度の時間依存性の測定を行い、シミュレーションコードの検証のための実験データの取得した。また2つの蒸発源を用いた衝突実験のための電極の準備などを行った。 シミュレーションコードの開発では、細部の改良により、α粒子の加熱による蒸発から、半径3mの炉心で蒸発物が衝突するまで一つのコードでμmオーダーのスケールからm級の現象まで一貫して計算できるようになった。まだ最終結論ではないが、当初心配された炉心での液体金属の析出、エアロゾルの大量生成の心配はなさそうである。その一つの理由はα粒子でアブレーションが発生した後、膨張過程でその先端部分は炉心プラズマから飛来する各種イオンで追加熱され、十分な運動エネルギーと内部エネルギーを同時に持って衝突するためでと考えている。また、用いられたモデルが正しいか検証するため、エアロゾル形成過程に重きを置いたコードを開発し、放電によるエアロゾル形成を評価した。 実験では飛散物の方向分布を中心に測定した。これは現在考えている炉の第1壁が接線方向から30度傾斜させた構造にして、中心部で衝突する蒸発物の量を減らそうと言う試みがあるので、その効果を検証するためである。幅が10mmあるターゲットからの蒸発であるが、その方向分布は等方分布と1/cosθに比例する平面分布の中間的なものであった。主な理由は放電時間中のプラズマの膨張が無視できず、平面プラズマの膨張よりも、四角柱の膨張に近い状態になっているものと思われる。又そのピークは法線よりも30度傾いた角度にピークが有った。このピークは電流の向きを変えても変わらず、U字型した電極の構造からくる磁場により、電子がガイドされ、両極性拡散でイオンが引かれてているためと考えられる。 平成22年度予定通り、衝突実験を行うが、衝突をさせることに重きを置くよりも、シミュレーションコードの検証のための基礎データを取得する方が効果的であること考えられる。
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