研究課題
平成21年度に銅析出物による圧力容器鋼のモデル合金Fe-Cuの機械性質変化への影響について調べた。高温時効と高エネルギー照射によって、Fe-Cuモデル合金に析出物を導入した。引張り試料を石英ガラスに入れ、真空封入した。真空封入した試料を773Kの電気炉に1、100と300時間の時効を行った。陽電子消滅同時計数ドップラー広がり測定の結果により100時間の時効をされた試料の方が純Cuのデータに近付いており、1時間または300時間の時効に比べて析出物が高濃度に形成した。ここで、773Kで1と100時間時効した試料の573Kでの引張り試験を行った。引張り試験の歪み速度は2x10-3%であった。急冷したFe-0.6Cu試料の引張り強さは約500MPaで、伸びは約12.5%であった。これに対して、1時間時効した試料の引張り強さはやや増加したが、伸びはやや減少した。引張り強さと伸びはそれぞれ519MPaと11%であった。100時間時効した試料の引張り強さと伸びはさらに増加し、689MPaになった。また、伸びもさらに減少し、6.7%になった。引張り強さと伸びの変化は時効によるCu析出物の形成に関係すると考えられる。Cu析出物が試料の塑性変形の時に、発生した転位の運動の障害物になる。転位が障害物を乗り越えるために、さらに高い応力が必要である。また、Cu析出物の変形挙動は試料母体のものと違うので、試料の塑性変形時に、析出物の所に亀裂が発生する。従って、試料全体の伸びは減少する。Cuの析出の顕著の方がこの傾向は強い。
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