研究課題
平成22年度は多センサー・プローブとホットフィルムプローブを用いて気泡の集積流動現象が発生する垂直矩形流路内の上昇気液二相流における相分布、界面積濃度分布、気相流速分布、液相流速分布及び乱流強度を計測し、それらの局所パラメーターのデータベースを構築した。過去各年度の実験データを合わせて、流れによる気泡集積流動現象の界面輸送特性をモデリングし、気泡集積流動現象を予測できるドリフトフラックスモデルとそれに基づいた界面抗力モデルを新たに提案した。定常一次元二流体モデルにそれらの新しく提案したモデルを取り込んで、数値解析を実施した。本年度の研究を通して以下の結論を得た。(1)気泡の集積流動現象は気液二相流の流れと気泡合併により長い流動時間と流れ方向の広い流動範囲にわたって発生した大気泡の形成と発達現象である。この大気泡が形成と発達している気泡集積流動区域では相間相対流速の増大によって流路断面平均ボイド率が減少するため、流れ方向全体の流路断面平均ボイド率が「増加→減少→再増加」のN字型に変化することとなった。(2)本研究が提案したドリフトフラックスモデルとその相関式に基づいた界面抗力モデルは、気泡集積流動現象を予測できることを確認した。それらのモデルを取り込んだ二流体モデルは複雑な気泡集積流動現象を予測できる。(3)大気泡の形成と発達で生じた気泡の集積流動現象が発生する際に、界面面積濃度が大幅に減少することで界面輸送特性が悪化している。エネルギー輸送利用として、この流域を避けることが望ましい。(4)広い断面積の流路に対して、障碍物の挿入又は流路の区分の方法は大気泡の形成とそれに関連する気泡集積流動現象の発生を阻止することに有効である。
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混相流
巻: 24 ページ: 595-602
Nuclear Engineering and Design
巻: 240 ページ: 3991-4000
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/TH/index.html