平成20年度に交付を受けた基盤研究(C)において、(1)ガラス及び金属からなる容器に液体シンチレータ及び立体格子構造を封入する方法の確立、(2)信号処理システムの構築について当初予定よりも課題解決に時間がかかり、繰り越しをお願いしたものである。平成21年度の研究により、フッ素系の接着剤を用いることで有機溶剤である液体シンチレータをガラスと金属からなる容器に封入しシンチレーション光を外部に取り出すことが可能となった。 また、取り出したシンチレーション光は容器のガラスに密着する形で配置した光ファイバで集光し、マルチアノード型光電子増倍管で測定を行う。これまでの研究で抵抗分割型の回路とし、抵抗チェーンの両端におけるパルス波高値を曲変換することで、どのチャンネルからどれだけの発光があったかを測定できるようになった。 これらの成果により、放射線は液体シンチレータや立体格子構造にのみ照射された状態で、立体的な放射線とシンチレータの相互作用分布が測定可能となった。現在のところサンゴバン・クリスタル社BC501を用いて特性評価を行っている。液体シンチレータ中での光の減衰などにより感度の一様性が十分ではない状態であるので、平成22年度には特性評価を継続し、感度補正等を十分に行うことが必要である。また、現在の構成ではγ線と中性子の弁別性能が低いことから、中性子測定用固体シンチレータと波長シフト用の液体蛍光体を用い、中性子の空間分布を測定するシステムについても検討を行う。
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