研究概要 |
風力発電システムにおける流入風の変動は,性能や寿命に大きな影響を与える重要な因子である.特に小型風車においては,風速や風向の変動に対する風車姿勢変化が大型風車に比べて極めて短時間で生じること,また設置高さが低いために地形や周囲障害物等の影響を強く受けることが知られている,国際規格IEC61400においても,複雑地形における風車性能評価法について修正や風速評価における新手法が提案されてきている.本課題においては,大型風車に関しては,CFDを利用した評価方法について適用範囲および不確かさなどについて詳細な検証を行った,また小型風車に関しては,より実用的なラベリング制度が検討されてきていることから,それらへの対応準備も行った 風車の性能は流入風エネルギーをもとにしたCaptureabilityによる評価などが提案されているが,風向に対する風車姿勢のずれ(ヨーエラー)については国際標準文書であるIECにも国内JISにも評価項目がないのが現状である.そこで本課題では,小型風車サイトにおいて高速サンプリングによる風向計測システムを構築して性能試験を実施し,自然風況下における風速および風向の変化に対する風車性能を詳細に計測することで,以下の知見を得た.(1)小型風車では高風速高乱流強度時における出力応答性が高いため,最大電流超過によるカットアウトが頻発し定格出力近傍での1分データセットにおける風速ビン平均出力は低く評価される.(2)フィールドでの小型風車の使用形態の1つである独立電源システムでは負荷の把握とコントロールが性能維持に重要である,(3)IECに基づく流入風速評価は風向のみのインデックスとなっているが,複雑地形においては風速もパラメータとした方がより不確かさの小さい結果となる.(4)ごく短時間のヨーエラーに対しては,高応答性の風車においては性能低下が小さい
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