研究概要 |
ショウジョウバエDveタンパク質は2個のホメオドメイン(HD))と1個のCOMPASSドメイン(CMP)を持つ。CMPは脊椎動物のクロマチン構造変換因子SATBとの間に高い相同性が認められる傾域である。dve遺伝子からはdve-A (~4.9kb)とdve-B (~3.5kb)の2種類のmRNAが転写される。Dve-A,Dve-Bタンパク質は共通してCMP腰と2つのHDを有しているが,Dve-Aにのみヒスチジンとグルタミンに富んだ傾域(HQ)が存在する。dve-A欠失変異体(dve^<K181>)およびRNA干渉(RNAi)を用いた解析から,2種類のDveアイソフォームの発現は暢の細胞種および時期特異的に極めて厳密こ制御されていることがわかった。 そこで,dve-A,dve-Bを異所的・異時的に強制発現させ,その効果を検討した。胚期の中腸では主にDve-Aが発現しているが,孵化直前にはその発現が抑制される。このdve-A発現抑制を阻害すると銅吸収,酸分泌の機能がともに低下した。また,胚期にdve-Bを過剰発現させると,中腸形態が著しく乱れた。幼虫期間質細胞ではDve-Bへのアイソフォーム変換が起きるが,このとき御dve-Bを過剰発現させると酸分泌が低下した。幼虫期copper cellではアイソフォーム変換が抑制されるためDve-Aが発現しているが,dve-Bを強制発現させることによって銅吸収が阻害された。このように,中腸細胞の機能期待にはDveのアイソフォーム変換が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
|