蛋白質をコードする塩基配列において、アミノ酸を変化させない塩基置換(同義置換)の速度とアミノ酸を変化させる塩基置換(非同義置換)の速度を比較することにより、アミノ酸配列レベルに働く自然選択圧を検出することができる。しかしながらその際には、塩基配列における突然変異のパターンを考慮に入れる必要がある。脊椎動物や植物のゲノムでは、CpGジヌクレオチドにおいて突然変異率が高くなっており、これを考慮に入れないと同義置換速度と非同義置換速度の比較が正確になされず、自然選択圧検出において誤った結果が得られることが知られている。そこで、CpGジヌクレオチドにおける高突然変異率の効果を考慮に入れた新しい自然選択圧検出法を考案した。コンピューター・シミュレーションと実際の配列解析により、新しい方法は従来の方法に比べてCpGジヌクレオチドで高突然変異がある場合にも正確に自然選択圧を検出できることが明らかになった。 系統樹中の特定の枝において、いくつかのアミノ酸座位に働いた正の自然選択圧を検出する方法として最近頻繁に用いられているbranch-site testについて、コンピューター・シミュレーションならびに視物質遺伝子の配列解析を行い、この方法の偽陽性率が高いことを明らかにした。 汎アジアSNPコンソーシアムの一員としてアジア人73集団のSNP解析を行い、言語や地理的な近縁関係が遺伝的な近縁関係を反映していること、東南アジアが東アジアの遺伝的多様性の源となっていることを明らかにした。
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