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2008 年度 実績報告書

湖沼沿岸生態系食物網の解析的研究:浮遊系食物連鎖と底生系食物連鎖の連結

研究課題

研究課題/領域番号 20570013
研究機関東北大学

研究代表者

菊地 永祐  東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (00004482)

キーワード食物網 / 沿岸帯 / 湖沼 / 安定同位体解析 / 浮遊系食物連鎖 / 底生系食物連鎖 / 餌資源解析 / 群集動態
研究概要

湖の食物網は、沖帯では植物プランクトン(懸濁有機物)が基点となる浮遊系の食物連鎖が卓越するが、沿岸帯では浮遊系食物連鎖と大型植物や底生微細藻類が基点となる底生系の食物連鎖が混合して存在する。しかし、沿岸帯の浮遊系と底生系食物連鎖の関係や、高次の消費者への寄与について明らかにはした研究はほとんどない。本研究の目的は、ラムサール条約の登録湿地である伊豆沼を対象として、そこに生息する生物や餌起源物質について、天然のトレーサとなる炭素・窒素同位体比を網羅的に測定することによって、その食物網の全容をとらえることにある。伊豆沼は、水深が浅く、湖面全体に水生植物が粗又は密に繁茂していることから、沿岸食物網のモデル的調査地となる。また従来、湖において、生産者から魚類などの高次消費者までをも含めた食物網全体を調べた研究は少ない。その理由の1つは、魚類など高次の消費者の採集が難しいことにあったが、伊豆沼では、オオクチバスの除去事業がなされ、その過程で多くの魚種のサンプルを得ることができる。本年度は食物網の基点となる生産者と低次消費者の食物関係について主に解析した。その結果、伊豆沼は富栄養で透明度が低いため、生産者として、底生藻類の寄与は小さく、植物プランクトンと水草に付着する藻類が主な生産者となることが分かった。また、水草は直接動物に食べられることはほとんどない。低次捕食者として、動物プランクトン(ミジンコ類やケンミジンコ類)は、POM中から植物プランクトンを選択的に同化していることが推定された。多くの大型底生動物(イトミミズ類やユスリカ類幼虫)は水中から堆積したPOMを主に同化していることが分かったが、モンユスリカ属の1種とオオユスリカは、炭素同位体比が堆積物やPOCよりも極端に低い者がみられ、メタン食物連鎖の寄与があることが推察された。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 伊豆沼の栄養状態とユスリカ科幼虫を中心とした底生動物群集の変化2009

    • 著者名/発表者名
      安野翔, 千葉友紀, 嶋田哲郎, 進東健太郎, 鹿野秀, 菊地永祐
    • 雑誌名

      伊豆沼・内沼研究報告 (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spatial dietary shift of Laternula marilina (Bivalva) and Hediste spp. (Polychaeta) along environmental gradients in two brackish lagoons2008

    • 著者名/発表者名
      G. Kanaya, S. Takagi, E. Kikuchi
    • 雑誌名

      Marine Ecology Progress Series 359

      ページ: 133-144

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dietary contribution of the microphytobenthos to infaunal deposit feeders in an estuarine mudflat in Japan2008

    • 著者名/発表者名
      G. Kanaya, S. Takagi, E. Kikuchi
    • 雑誌名

      Marine Biology 155

      ページ: 543-553

    • 査読あり
  • [学会発表] 炭素安定同位体比の異なるオオユスリカ幼虫個体間の脂肪酸組成の違い2009

    • 著者名/発表者名
      安野翔・山中寿朗・鹿野秀一・菊地永祐
    • 学会等名
      日本生態学会第56回大会
    • 発表場所
      岩手県立大学
    • 年月日
      2009-03-18
  • [学会発表] 炭素・窒素安定同位体比を用いた浅い富栄養湖伊豆沼の底生動物の餌資源解析2009

    • 著者名/発表者名
      安野翔・鹿野秀一・嶋田哲郎・進東健太郎・菊地永祐
    • 学会等名
      日本生態学会第56回大会
    • 発表場所
      岩手県立大学
    • 年月日
      2009-03-18
  • [学会発表] 炭素・窒素安定同位体比を用いた浅い富栄養湖伊豆沼の食物網解析2008

    • 著者名/発表者名
      安野翔・千葉有紀・進東健太郎・藤本泰文・嶋田哲郎・鹿野秀一・菊地永祐
    • 学会等名
      日本陸水学会第73回大会
    • 発表場所
      北海道大学学術交流会館
    • 年月日
      2008-10-13
  • [学会発表] オオユスリカ幼虫へのメタン食物連鎖の寄与の季節変化2008

    • 著者名/発表者名
      安野翔・鹿野秀・村岡歩・嶋田哲郎・原浩太・佐藤洋介・菊地永祐
    • 学会等名
      日本陸水学会第73回大会
    • 発表場所
      北海道大学学術交流会館
    • 年月日
      2008-10-11
  • [学会発表] 伊豆沼・内沼のハス群集の生育拡大状況2008

    • 著者名/発表者名
      鹿野秀・菊地永祐・嶋田哲郎・進東健太郎
    • 学会等名
      日本陸水学会第73回大会
    • 発表場所
      北海道大学学術交流会館
    • 年月日
      2008-10-11

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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