無性型・有性型からなるフナ類の集団は同所的に共存している。しかし、この共存はパラドックスであり、その個体群動態におけるメカニズムを理解することが研究の全体構想である。これにより生態学における多種共存のメカニズムの理解へ貢献し、さらには、進化生物学の難問である性の進化の問題への洞察を得たいと考えている。本研究では、(1)有性無性比について野外個体群動態の長期観察を行い、負の密度効果に関する検定を行うこと、(2)半野外・室内実験個体群を用いて個体群動態の長期観察を行い、共存が可能か、少数者有利の密度効果があるのかを明らかにすること、(3)室内実験で、環境要因(水温・餌量・溶存酸素)をコントロールし、稚魚・成魚の発育ステージごとに、有性・無性型の死亡・成長率の違いを明らかにすることを目標とする。
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