研究課題
植物特有のオルガネラである葉緑体とミトコンドリアで働くペンタトリコペプチドリピート(PPR)タンパク質の機能を解明し、PPRタンパク質を介した葉緑体の転写後制御(RNA編集など)の分子機構の一端を明らかにする。今年度得られた主要な成果は次の通りである。(1)葉緑体のRNA編集にPPRタンパク質がトランス因子として働くことが知られていたが、編集反応を行う触媒因子の実体は未だ不明である。近年、いくつかのPPRタンパク質が持つDYWモチーフが、編集酵素の実体ではないかという仮説が提唱された。そこで、DYWモチーフを持つPPRタンパク質(DYWサブクラス)の機能を明らかにするために、DYWサブクラスを欠損するcrr22変異株とcrr28変異株の解析を行った。その結果、CRR22は3カ所の編集部位(ndhB-7、ndhD-5、rpoB-3)に、CRR28は2カ所の編集部位(ndhB-2,ndhD-5)の編集に働くことを明らかにした。しかしながら、in vivoの解析でCRR22とCRR28のDYWモチーフは部位特異的RNA編集反応には不要であることが判明した。またCRR22とCRR28のDYWモチーフはCRR2(RNA切断に関与する)のDYWモチーフと機能的に相補できないことがわかった。このことはDYWモチーフが多様な機能をもつことを示している。(2)PPRタンパク質はRNA結合能をもつPPRモチーフ以外に、様々な機能未知の保存配列モチーフをもつことが知られている。本研究でPPRタンパク質のC末端に存在するDYWモチーフが新規のエンド型RNA分解活性を有することを初めて明らかにした。DYWエンドリボヌクレアーゼはRNA分子をアデノシン残基の位置で特異的に切断する新規のRNA分解活性をもつ。生体内ではPPRモチーフとDYWモチーフの組み合わせにより、ヌクレオチド配列特異的にRNAの切断に働いていることが予想される。
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