研究概要 |
イネ胚発生の器官形成において、miRNAとオーキシンの制御を明らかにすることを目的に、本年度は、器官形成能を失った2つの突然変異体、棍棒状胚突然変異体(club-shaped embryo1;cle1)と球状胚突然変異体(tryptophan deficient dwarf1;tdd1)について次の成果を挙げ、研究基盤を構築した。 1.OsDCL1がcle1の原因遺伝子であることの証明 原因遺伝子単離を目的としたポジショナルクローニングを進めた結果、原因遺伝子は第3染色体の短腕1.1-6.3cMの領域内に座乗することが明らかとなった。この領域内に座乗する候補遺伝子OsDCL1による相補性検定を進めた結果、OsDCL1がcle1の原因遺伝子であることを明らかにした。 2.棍棒状胚変異体で蓄積しているmiRNA前駆体の同定 miRNA前駆体をマイクロアレイ化し、胚RNAを用いてmiRNA前駆体の網羅的発現解析を行った。その結果、cle1胚では特定のmiRNA前駆体(特にmiRNA167)が蓄積していることを明らかにした。 3.棍棒状胚変異体におけるmiRNA167,ARF6/8,GH3の発現レベルの検証 定量的RT-PCR実験によって、miRNA167,ARF6/8,GH3の発現レベルを野生型胚と変異体胚で比較した。その結果、cle1胚では野生型に比べARF8が強く発現していることを明らかにした。 4.tdd1変異体がオーキシン欠乏変異体であることの証明 tdd1再分化個体の表現型は、他の植物のオーキシン異常で観察される表現型と近似していること、tdd1の胚と花ではトリプトファンとIAAのレベルが低下していること、tdd1 promoter-GUSによる発現パターンがDR5-GUSのパターンと近似していることなどを詳細に解析し、tdd1変異体がオーキシン欠乏変異体であることを明らかにした。
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