光化学系IIの品質管理に関する3年間の研究成果は以下のように要約できる。(1)光や熱ストレス下では脂質の過酸化と活性酸素の発生が起こり、それが光化学系IIの反応中心結合タンパク質D1の酸化的損傷、凝集および分解の原因の一つとなることが明らかになった。(2)光や熱ストレス下では、光化学系IIでの光化学反応や脂質過酸化の結果生じる活性酸素の発生量を減らし、光化学系II への損傷を防ぐために、チラコイド膜がunstackingを含む種々の構造変化を起こすことが分かった。(3)チラコイド膜ではグラナに多く存在する光化学系IIが強光で損傷を受けると、グラナ、恐らくグラナマージン、に存在する金属プロテアーゼのFtsH hexamerの作用によって損傷D1タンパク質が分解されることが明らかとなった。
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