研究課題
これまでの解析でAtRBR1を抑制するとG1期細胞の割合が減少し、G2期細胞の割合が多くなることが分かった。そこで、AtRBR1の細胞周期への影響を調べるため、アフィディコリンを用いて同調する実験系を行った。但し、シロイヌナズナ培養細胞ではM期辺りから同調しなくなるため、ここではS期からM期までの期間を調べた。細胞周期を解析した結果、アフィディコリン洗浄後0時間ではコントロールの細胞と差は見られず、ほとんどの細胞がG1/S移行期にあり、高い同調率が得られた。コントロール細胞ではアフィディコリン洗浄後12時間から15時間でGI期の細胞が大きく増加し、M期から次の周期のG1期へと移行していたが、AtRBR1を抑制するとアフィディコリン洗浄後12時間と15時間でのG1期へと移行する細胞の割合がより少なかった。この結果から、AtRBR1を抑制した細胞ではM期移行が遅れていることが考えられ、G2期からM期の移行に関わりM期直前に発現が最大となるCYCA1;1、CYCB2;3、CDKB2;2の転写レベルを調べた。その結果、コントロール細胞ではアフィディコリン洗浄後12時間でこれらの遺伝子が高い発現を示したが、AtRBR1を抑制した細胞ではこれらの遺伝子の発現レベルが低く、M期から次のG1期へ移行する細胞の割合が少ないことに対応していた。次に、AtRBR1を抑制した場合でもショ糖飢餓においてG1期からG2期への細胞周期の進行が観察されたので、E2F制御遺伝子群の発現を解析した。発現解析には定量的リアルタイムRT-PCRを用いた。その結果、3%ショ糖存在下では、AtRBR1を抑制した細胞ではコントロール細胞よりもこれら遺伝子群の発現が全体的に上昇しており、特にRNR~では高い発現上昇が確認されE2F制御遺伝子が転写活性化していることが分かった。これらの結果から、ショ糖飢餓においてAtRBR1を抑制してもDNA複製に関わる遺伝子群の転写を抑制することができないために、G1期からS期へと細胞周期が進行する可能性が考えられた。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
Plant Physiology and Biochemistry
巻: 49 ページ: 687-691
Plant & Cell Physiology
巻: 52 ページ: 922-932