研究概要 |
ヒメミカヅキモは、陸上植物と非常に近縁な単細胞接合藻類であり、その接合過程の進行には、特異的な糖タンパク質性フェロモンによる多段階にわたる細胞間情報伝達が不可欠である。本研究では、性フェロモン受容体分子の実体を明らかにし、得られた受容体候補分子の遺伝子発現抑制株、過剰発現株を作製して、生理機能を確認することを目的とした。 1.性フェロモン(PR-IP Inducer)の産生を誘起する物質の特性解析 2の結合試験に用いるために、PR-IP Inducerの産生を誘起する新規の性フェロモンについて、特性解析を進めた。 2.PR-IP Inducer受容体候補分子とのin vitro結合解析 two-hybrid systemにより得られたPR-IP Inducerを結合する能力のある分子(CpO1,CpO1-like,contig2)について、酵母組換え型タンパク質として産生させて、1で調製したNativeなPR-IP Inducerとの結合を試験したところ、3者とも顕著な相互作用を示した。 3.ヒメミカヅキモへの遺伝子導入 ヒメミカヅキモを宿主とした、形質転換系をほぼ確立しつつある。そこで、この系を用いて、Cp01,Cp01-like遺伝子、既知の受容体型タンパク質遺伝子(CpRLK1,CpRLP1)などの発現抑制株、および過剰発現株の作製を試みた。 4.遺伝子過剰発現株、発現抑制株の示す表現形 CpRLK遺伝子について、ゲノミックPCR法による遺伝子導入状況確認、realtimePCR法による遺伝子発現レベル変化を確認した。特に、antisense方向に遺伝子を導入した株について、有性生殖能力の低下が見られた。
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