研究概要 |
シロイヌナズナの根毛形成を誘導するMyb遺伝子CPCには、4つのホモログがあり、根毛形成においてリダンダントな機能を持つ。しかし、非根毛細胞から根毛細胞へ移行して働くCPCと異なり、他の4つのホモログは移行しない。また、GFPとの融合タンパク質の観察により、TRYとETC2タンパク質が非常に早く分解することが示唆された。これらのタンパク質の移行や分解の機構を明らかにすることは重要であると考え、平成21年度は以下の実験を行った。 1,細胞間移行モチーフの解析 CPCの細胞間移行モチーフS1(Kurata et al.,Development 2005)をETC1のN末端に付加し、CPCプロモーターでドライブしたCPC::S1:ETC1:2xGFPコンストラクトを作成し、シロイヌナズナに形質転換した。T1植物を10ライン観察したところ、9ラインのGFP融合タンパク質が非根毛細胞に局在していた。以上の結果から、ETC1にS1の9アミノ酸を付加しただけでは細胞間移行には不十分であることが示唆された。 2,TRY,ETC2の分解機構の解析 TRY,ETC2タンパク質の根での分解について明らかにするため、ERからゴルジへの輸送阻害剤であるBFA、プロテアーゼ阻害剤であるE-64dプロテアソーム阻害剤であるMG132,MG115等を加えた培地でCPC::TRY:GFPまたはCPC::ETC2:GFP形質転換体を育て、融合タンパク質の分解が抑えられるかどうかを調べた。その結果、どの阻害剤によっても分解の抑制は観察されなかった。これらのことから、TRY,ETC2の分解はプロテアーゼやプロテアソームには依存しないものである可能性が考えられた
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