研究課題/領域番号 |
20570054
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
野崎 眞澄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70136232)
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研究分担者 |
内田 勝久 新潟大学, 自然科学系, 助教 (50360508)
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キーワード | ヌタウナギ / 無顎類 / 下垂体 / ゴナドトロピン / 性ステロイドホルモン / 組替えホルモン / 腺下垂体ホルモン |
研究概要 |
研究は、ほぼ交付申請書に記載された内容に沿って行われた。1)クロヌタウナギの成熟個体より精巣を採取し、cDNAライブラリーを構築した後、大規模シーケンスにより発現遺伝子の網羅的探索を行った。その結果、ステロイドホルモン合成酵素の一つであるコレステロール側鎖切断酵素(CYP11A)と高い相同性を持つ遺伝子が単離された。現在、CYP11Aの完全長の構造を決定するとともに他のステロイド合成酵素の検索を続けている。2)クロヌタウナギの精巣を用いた器官培養系に、クロヌタウナギの下垂体より単離精製した生殖腺刺激ホルモン(GTH)を、0~5μg/mlの様々な濃度条件下で投与し、培養液中に放出されたエストラジオール(E2)とテストステロン(T)濃度を測定した。その結果、GTH投与により、E2とTの放出量は用量一反応的に増加し、最高濃度の5μg/mlで有意に増加した。3)ゴマ油に溶かしたエストロジェン(EB)を3日目ごとに4回(半月)ないしは9回(1ヶ月間)クロヌタウナギの腹腔内に注射し、下垂体GTH細胞を遺伝子レベル(半月投与)と蛋白レベル(1ヶ月投与)で調べた。その結果、E2投与によりGTH細胞の免疫陽性反応はα鎖β鎖とも顕著に増加したが、GTH遺伝子発現量は対照群と有意差が見られなかった。このことは、EB投与によりGTHの分泌が強く抑制されたことを示している。4)ヌタウナギの組み換えGTHタンパク質を精製し、精巣の培養系でE2の分泌促進効果を調べた。その結果、組み換えGTH 10μg/mlで有意にE2の分泌促進効果がみられた。以上の1)~4)の結果から、もっとも原始的な脊椎動物であるヌタウナギにおいても、高等脊椎動物と同様、下垂体-生殖腺間に負のフィードバック機構が存在していることが明らかとなった。
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