研究課題/領域番号 |
20570056
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
溝口 明 名古屋大学, 理学研究科, 准教授 (60183109)
|
研究分担者 |
八木 克将 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (10372525)
|
キーワード | 昆虫 / インスリン様成長因子(IGF) / 成長 / カイコ / ショウジョウバエ / 変態 / 脂肪体 / エクジステロイド |
研究概要 |
インスリン様成長因子(IGF)はヒトの成長を調節する重要なホルモンである。本研究の目的は、最近われわれが昆虫(カイコガとショウジョウバエ)で初めて発見したIGF様ペプチド(IGF-like peptide : IGFLP)の産生組織、分泌調節、生理機能の解析を進め、昆虫の変態(成虫発育)における同ペプチドの生理機能を解明することである。これまでの解析により、昆虫IGFLPは変態期特異的に主に脂肪体で産生され成虫の成長を促進する他、機能は不明ながらカイコガの精巣や卵巣でも時期特異的に産生されることが明らかになっている。本年度はこれらの組織が分泌するIGFLPの個々の生理作用と作用様式の解明を目指し、組織培養系を用いた以下の研究を行った。 1. 脂肪体が分泌するIGFIPの標的組織の一つと推定される生殖器原基のin vitro培養系を確立した。最適化された培養条件では48時間で培養開始前の約3倍の組織ナイズの成長が認められた。同原基の最大成長にはエクジステロイドも必要であることが明らかとなった。 2. 精巣壁が産生するIGFLPは精巣に繋がる輸精管の成長を促進する(傍分泌的作用)と予想し、輸精管のin vitro培養実験を行った。同組織の最大成長は、エクジステロイドの存在下で精巣壁と共培養した時に観察された。精巣壁の効果をIGFLP添加により完全に再現することは今のところ成功しておらず、精巣壁はIGFLP以外の成長因子を分泌する可能性もある。 これらの結果は、IGFLPの成長促進作用はエクジステロイドやその他の因子の存在下で最大化することを示している。今後は、今回確立した培養系を活用し、IGFLPと他因子との相互作用の詳細を解析していく予定である。
|