研究課題
種々に分化した色素体の形態を電子顕微鏡学的に網羅的に解析し、「色素体分化地図」を作成した。野生型と突然変異体、あるいは種々の作物品種の間で色素体形態を比較することにより、網羅的な色素体構造に関する情報を蓄積した。将来的に、遺伝子機能の予測や色素体構造と内包成分との関係を示すことが可能である。平成22年度は、以下の1と2の解析を主に進めた。1.葉の色に異常があるシロイヌナズナ突然変異体の観察理化学研究所所有のシロイヌナズナ突然変異体(Chloroplast Function Database参照)を材料にした。葉緑体タンパク質をコードすると予想された核遺伝子にタグが挿入されたラインのうち、アルビノ、ペールグリーン、斑入り等の葉の色の変化が記載されていたおよそ30ラインについての子葉の網羅的観察を行った。同時にサンプルのクロロフィル測定も行い、クロロフィル量比とチラコイド膜形成の相関関係の有無を明らかにした。将来的に、葉緑体構造に関わる遺伝子の機能予測につながる。また、子葉と本葉における葉緑体分化メカニズムは、かなりの点で異なること等も明らかになった。2.果実の色に関する突然変異体(品種)の観察ナス科植物のモデル植物として最近注目されているトマト(マイクロトム)と、多様な果実色を有するトウガラシ品種を用いて、果実のクロモプラスト観察を行った。その結果、幾つかの新規構造体を見出すと同時に、その構造体の由来成分(カロテノイド)を推測することができた。将来的に、葉緑体以外の色素体形成に貢献する遺伝子の機能予測や、内包成分の予測に有用であると思われる。
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Plant Morphology
巻: (In press)
Journal of Plant Research
巻: 123 ページ: 193-199