研究課題/領域番号 |
20570074
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
志賀 向子 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90254383)
|
研究分担者 |
沼田 英治 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70172749)
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70347483)
|
キーワード | 昆虫 / 生理学 / 神経分泌 / 休眠 / エクジステロイド |
研究概要 |
昆虫は成長に不適切な季節が訪れる前に成長や生殖を停止した休眠に入る。休眠の神経内分泌機構を探るため、本年度はホルモン測定法を検討し、エクジステロイド量と卵黄タンパク質の発現を休眠と非休眠条件で比較した。 1.GCMSによるホルモン測定方法の検討:エクジステロイドのトリメチルシリル化を行い、GCMSによるエクジステロイドの測定を試みたが、検出感度を上げることができず目的の濃度の検量線を得ることができなかった。アラタ体培養液をGCMSで解析した結果、幼若ホルモンIIIビスエポキシド(JHB3)の位置にピークが出現した。しかし、幼若ホルモンについてもGCMSによる定量は困難であった。今後幼若ホルモンの合成量は従来の放射化学アッセイ法により、エクジステロイドはラジオイムノアッセイ法へ切り替え、定量することにした。 2.ラジオイムノアッセイ法によるエクジステロイド量の測定:血リンパ中および卵巣中のエクジステロイド量は非休眠条件では卵黄蓄積の起こる直前(卵巣ステージ2-)から増加し、卵巣ステージ3,4で最大となった。一方、休眠条件では卵巣は発達せず(卵巣ステージ1)、エクジステロイド量は低いままであった。 3.卵黄タンパク質遺伝子のクローニングおよび発現解析:卵黄タンパク質遺伝子は脂肪体と卵巣に特異的に発現しており、その発現は卵巣ステージ2-より始まり、ステージ2+、3、4で強くなった。また、休眠条件では発現していなかった。 以上より、ルリキンバエでは休眠中のエクジステロイド量および卵黄タンパク質の発現は非休眠条件と比べ低下していることがわかった。
|