研究課題
1線虫生殖巣の筋上皮細胞(平滑筋様細胞)におけるトロポニンの役割トロポニンは一般には、横紋筋特有の筋収縮制御タンパク質と考えられてきたが、線虫では体壁筋(横紋筋)に加えて、筋上皮細胞にもトロポニンが存在する。筋上皮細胞におけるトロポニンの役割を明らかにするために、まずSDS-PAGE/Western Blot法により、筋上皮細胞で働くトロポニンI (TnI)のタイプを解析した。その結果、4種あるTnIの内、TnI-2,TnI-2が重要であることを確認した。そこで、RNAiの手法でこの2つのTnIの発現を抑制したところ、生殖巣の収縮運動が妨げられ、産卵異常がみられた。このことから、トロポニンが産卵のための筋上皮細胞(平滑筋様細胞)の収縮運動制御に重要な役割を果たすことが明瞭になった。従来の理解を超えたトロポニンの新たな役割を見出したと言える。2原索動物にみられるトロポニンの機能の多様性について脊椎動物横紋筋のトロポニンは筋収縮の抑制因子と働く「ブレーキ型トロポニン」である。Caイオンによってブレーキは解除される。マボヤ平滑筋トロポニンはCa依存的な筋収縮促進因子(アクセル型トロポニン)である。2つのタイプのトロポニンが脊索動物にどのように分布するか、ナメクジウオとユウレイボヤを材料に調べた。具体的には、cDNAから発現ベクターを構築、大腸菌で発現させて組み換え体トロポニンを作成し、その機能特性を解析した。その結果、ナメクジウオ横紋筋はブレーキ型トロポニンを、ユウレイボヤは横紋筋、平滑筋いずれもがアクセル型トロポニンを持つこと明らかになった。原索動物の進化に伴う機能の多様化について興味ある問題点を提起する発見である。
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Proceeding of 9th Int Congress Cell Biol ICCN2008, Medimond, Italy (In press)