線虫、ホヤ(尾索類)、クマムシを用いた研究から、これまで横紋筋の収縮制御因子として知られてきたトロポニンが非横紋筋細胞(平滑筋細胞や筋上皮細胞)でも収縮制御に関わること、特に線虫では産卵時の生殖巣筋上皮細胞の収縮制御に不可欠な役割を果たすことを見出した。脊椎動物トロポニンはCaイオン不在時に収縮運動の抑制因子として働く。頭索類ナメクジウオトロポニンは同様の性質をもつが、ホヤの平滑筋のトロポニン、横紋筋のトロポニンはCaイオン存在下で収縮運動の促進因子として機能することを見出した。分子構造の比較解析と合わせて、脊椎動物の進化過程でのトロポニンの多様化を解明した。
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