研究概要 |
ベトナム、ラオスで捕獲されたMus pahari類縁種の形態学的および分子系統学的解析を行った。ミトコンドリアDNAcytb遺伝子、核遺伝子IrbpおよびRag1遺伝子のエクソン配列の解析の結果、「新種」の可能性が強く示唆された。ミャンマーで捕獲された個体の解析を行い、Mus lepidoidesとして独立種として報告し、ミャンマーが小型哺乳類の系統分化において重要な地域であることを明らかにした(Shimada et al., in press)。ハツカネズミ属16種において、毛色関連遺伝子の一つMc1rに着目し、アミノ酸置換速度に関する解析を行い、特定の祖先系統(500-300万年前)にアミノ酸速度が加速されていることを示した(Shimada et al., 2009)。野生ハツカネズミMus musculusを題材として二次的接触の解析ツールの開発をめざし、染色体8番の末端領域200kbに8個の遺伝子マーカーをセットしハプロタイプ解析を行った。その結果、日本列島において組み換え体ハプロタイプを検出することができた(Nunome et al., 2009 ; Nunome et al., in press)。クマネズミ類の解析は共同研究者のKen Aplin氏とともにcytb、Irbp、Rag1、Mc1rの塩基配列の解析を行い、生物地理学的考察を行った。その結果、クマネズミはインド亜大陸産Rattus rattusおよび東アジアRattus tanezumiに特異的系統として明瞭に分けることが明らかとなった。
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