研究概要 |
初年度である2008年度は,現在までに採集・保存されていたシラスウ科魚類標本と基にした予備的な分子系統解を進めることから研究を開始した.ミトコンドリアDNA全長塩基配列と用いた結果,ハゼ亜目オオメワラスボ科の姉妹群であることが明らかになってきた.この成果は,2008年度日本魚類字年今にて発表した.標本採集は,国内では琉球列島の沖縄島と石垣島,国外ではパラオ共和国コロール島周辺およびプレンチボリネシア(タヒチ)のモーレア島で行った.全ての場所で採集に成功したが,特に国外2ヵ所で得られた採本〔計140個体)は,それぞれの周辺地城におけるシラスウオ科魚類の初記録となるものである.これらの標本を新たに従来の系統樹(Kon et al.,2007:Molecular Phylogenetics and Evolution, 44,53-62 [doi: 10.1016/j.ympev.2006.12.007])のデータセットに追加して,ミトコンドリアDNAの16SrRNA遺伝子の部分塩基配列と用いた系統解析を再び行ったところ,穏蔽種数が21から29に飛躍的に増大した.この結果から,シラスウオ科魚類には,まだ多くの多様性が隠されている可能性が高まった。2009年度は,さらに国外採集を拡大し,この幼形進化と示す亘類の隠された多様性とより明かにして行<ことを予定している.
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