研究概要 |
タイ科クロダイ属魚類は、広大なインド・西部太平洋において分布し、最も人間に身近で、何処でも漁獲対象となっており、ごくありふれた普通種であるが、各国で使用されている学名が混乱しておりFAOよりタイ科クロダイ属魚類は分類学的再検討が急務としている。そこで,分類学的再検討を行った。その結果、HoloAcanthopagrus vagus Petersは従来A. berdaのシノニムとされて、両者は混同されてきたが、南アフリカの有効種であるであることが判明した。さらに、クロダイ類似種群からオマーンより未記載種が見つかりA, omanensis、A. pacificusとして新種報告を行った。さらに、ペルシア湾のキチヌ類似種群の検討の中でさらにもう2種のクロダイ類似種群のもう1種の未記載がみつかった。そこで、これをA.randalliとして新種記載を行った.一番難しいグループのキチヌ類似種群を中心にまず検討を行ってきたが、体節的なモードの異なる計数形質(側線鱗数等)、形態および色彩が非常に似ており、形質の幾つかの組み合わせでないと正確な同定が難しく、いわゆる同胞種(sibling species;Iwatsuki et al.,2006)が内在していることは判明し、6種のうち4種が中近東に、またオーストラリア北西部で2種が確実に分布・生息していることを確認し,3新種と2有効種の存在を確認した。
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