ヨメナ属植物は、シオン属植物と比べて明らかに小さな染色体を持ち、その染色体サイズは約半分で、核型は相似的であることが示されている。これまでに、葉緑体DNAを使った分子系統解析と染色体による細胞遺伝学的解析により、ヨメナ属の小型染色体(Sタイプ)がシオン属の大型染色体(Lタイプ)よりも派生的であることが示されている。このことは、シオン属からヨメナ属への進化の過程で染色体サイズの減少がおこった事を示すものである。本研究では、染色体サイズの減少がどのようにして生じたのかを明らかにするため、LタイプおよびSタイプのゲノムDNAを材料に、これら2属がもつ、異なるゲノム構成または染色体の進化について新たな知見を得るため、平成20年度は、九州および関東ならびに東北地域における自生地域調査を行い、調査によって得られた植物個体を栽培後、生きた個体から分裂組織をサンプリングし、SタイプおよびLタイプの特定を含めた細胞遺伝学的評価を行った。平成21年度には、様々な手法を用い、3種間における比較実験を試みたところ、RAPD法を用いることによって、Lタイプの染色体をもつシロヨメナとノコンギクに共通する特異的なバンドが存在することがわかった。そこで、RAPD法によって得られたLタイプに特異的なシロヨメナのバンドをプローブに用いて、FISH法によるノコンギクの染色体の観察を行ったところ、シロヨメナのプローブがノコンギクの核内ゲノムにハイブリダイズすることが確認された。
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