研究課題
基盤研究(C)
インド-西太平洋に生息する海産甲殻類の一群であるMesopodopsis属アミ類は沿岸及び汽水生態系の重要群と認識される。本属のうち、南アジアからフィリッピンに広く分布する種は従来M.orientalisとして扱われてきたが、形態並びに遺伝的に異なる2種が存在することを明らかにした。基準標本との比較を行ってM.orientalisを再定義した。同時に、相対的に長い腹肢(雄)を持ち、東南アジアの汽水を中心に分布するグループを新種として記載した。M.orientalisはパキスタンからフィリッピン、M.tenuipesはマレー半島からフィリッピンにかけて生息することが確認された。M.orientalis及びM.tenuipes共に高い広塩分耐性を有するが、両種が同じ地域で共存する東南アジアではM.orientalisは海域、M.tenuipesは汽水域を主たる生活の場とし、生活圏を異にしていた。因みに1990年代初期のインドにおいてM.orientalisとして報告された種はしばしば近縁種M.zeylanicaとの混同が確認されたので注意を要する。ミトコンドリア遺伝子の解析結果は、両系統共に高い遺伝的変異をもつ地域個体群を内包することを明らかにし、特にフィリッピンの個体群は深い分岐を示すなど、各々のグループでの隠蔽的種分化の可能性を示唆した。両種の個体群動態の解析から、熱帯水域では共に一年中繁殖を行うことが明らかになった。但し、汽水種M.tenuipesは海産種M.orientalisに比べて大卵少産で、生活史のすべての段階を通じて大型である。熱帯マングローブ汽水域の甲殻類に対する繊毛虫の外部寄生が周年認められ、その寄生率は水域の塩分濃度と負の相関があった。また、これら繊毛虫の寄生は海域の個体群では観察されなかったことから、今後、個体群判別の生物マーカーとしての活用の可能性などが考えられた。
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