研究課題
本研究の目的は、細胞骨格フィラメントタンパク質のフィラメントの安定性を高圧という摂動を行いながら放射光溶液散乱という溶液中での時間変化に伴う分子形態を計測する技術を用いて研究する事である。当該年度においては、現存する高圧ジャンプ装置に対する高度化を集中的に行った。具体的には、微小容量高圧ストレインゲージを高圧バルブと高圧セルの間に組み込んだ。予想通り、高圧ジャンプの再現性は非常に高まり、200MPaまでの昇圧は安定的に出せることを確認した。しかし、ゲージを増設したことにより、より微量の高圧の漏れが明瞭になり、個々のバルブ部品に対し改良を施す必要が生じた。これらの手当てを行い光学的測定で試験した後、SPring-8にて実際に装置を持ち込んでX線を用いたテスト実験を3月に行った。ParMだけでなく、テスト試料として用いたsmall heat shock proteinの圧力凝集の時間測定に成功した。残念ながら、研究者が使用しているSPring-8ビームラインBL45の計測制御ソフトに当該年度変更されたため、検出器との電気的同期は未だとれていない。これと平行して、高圧電気泳動装置を用いたかい離状態の確認や高圧光散乱測定のためのセットアップと予備実験も行っている。高圧装置にまとわりつく作業は、単年度で済む話ではなく継続して行うべき性質のものである。最後に、フィラメント蛋白質の大量発現調整の確立は当該年度ではほとんど手をつけることができなかった。今後の課題である。
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