本プロジェクトは、我々が開発した微小体積、放射光高圧小角散乱測定システムを活用してフィラメントの安定性の評価をするものである。、高圧セル自体の体積が小さくないと装置の不感時間が長くなり、高圧ジャンプ測定は困難になる。現在、フランスなどでも放射光高圧小角散乱測定は行われているが、時間変化測定は世界でも類を見ない、 昨年度は主に、高圧ジャンプシステムの開発を中心にして研究が行われた。当該年度は、アクチン類似タンパク質AlfaとMreBの放射光高圧小角散乱測定を行い、放射光高圧小角散乱測定を行った。 AlfAはバクテリアの増殖や胞子形成の際のDNAの分離に携わるタンパク質であり、MreBは原核細胞の形態を決定するタンパク質である。両者ともアクチンの類似タンパク質である。これらのタンパク質は、FtsZやParMとどのようにフィラメントを形成しているか、違いが良く分かっていない。高圧小角散乱測定によりAlfaフィラメントはParMフィラメントとアクチンフィラメントの中間程度に安定であることが示された。 また、骨格筋フィラメントだけでなく、フィラメントの例としてリゾチウムアミロイドに関する構造も小角散乱測定を行い、原著論文が出版されている。 研究の一貫として、小角散乱解析法に関する一連の総説を出版し、近年急速に進展している当該方法論の普及に尽力した。
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