研究課題
本プロジェクトは、我々が開発した微小体積、放射光高圧小角散乱測定システムを活用してフィラメントの安定性の評価をするものである。昨年度は、アクチン類似タンパク質AlfaとMreBの放射光高圧小角散乱測定を行い、それぞれの安定性を定性的に評価した。その結果は共著論文として2報報告されている。本年度は、これらの散乱曲線の構造解析を中心により詳細に両フィラメントの安定性の評価を試みた。原核細胞の形態を決定するタンパク質MreBは、GTP、ATP存在下では同程度の安定性を持つ繊維束を形成している。繊維束の厚みはヌクレオチドにより違い、それぞれ18nmと9nmと評価された。また、この繊維束を保持する力に異方性はなく、actinのプロトフィラメントに匹敵する耐圧を持つことが分かった。一方、DNA分離に関わるタンパク質Alfaは、GTP、ATP存在下では同じような形態の繊維東を形成する。繊維の厚みは、24nmと評価され、おおよそ3層のプロトフィラメントが重なっていると考えられる。この繊維束を保持する力には異方性が存在し、圧力が加わるとプロトフィラメントの軸方向からかい離が始まり、厚み方向のかい離がそれに続くことがわかった。また、高圧ではないが時分割X線溶液散乱を用いた、タンパク質のおれたたみの研究や、small heatshock protein会合体の温度に対する構造安定性の研究も行い、共著で誌上発表をおこなった。
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http://www1.gifu-u.ac.jp/~fujilab/