神経幹細胞に強く発現するMusashi1(Msi1)は、幹細胞の全能性維持や腫瘍化に関係している.Msi1のはたらきは標的遺伝子の発現を翻訳段階で抑制することである.まず、Msi1によるRNAの認識機構を原子分解能で明らかにした.得られた最小標的配列及び結合様式の知見は、新たな標的遺伝子を探すための重要なヒントとなる.また、翻訳開始因子の一つポリA結合タンパク質(PABP)が、ポリA鎖結合面とは異なる面でMsi1と結合することが示された.翻訳抑制複合体の構造解析に向けたモデリングプロトコールも整備した.
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