研究概要 |
本研究は小胞体-ゴルジ間の繋留過程における作用点が明確になっていない膜結合型golginのゴルジ体構築への関与に焦点を当てて解析する。これら4種のタンパク質のsiRNAによるknock-downはすべてゴルジ体の細分断をひきおこした。今年度は4種のgolginタンパク質のうちgolgin-84,とCASPを中心に解析した。我々はこれまでの結果から、golgin-84のゴルジ体から小胞体への移送にcoiled-coilドメインの前半が、小胞体からのゴルジ体への移送に後半が必要なこと、またCASPのゴルジ体局在には後半のcoiled-coil domainが必須であることを明らかにしている。このドメインを用いて酵母two-hybrid法により相互作用タンパク質の検索をおこなった。その結果golgin-84のゴルジ体局在化ドメインと結合するタンパク質としてKIF3Cが見いだされた。この結合はin vitroのpull-down法と我々が作出した抗-KIF3C抗体を用いた免疫共沈により確認された。この相互作用はKIF3C特異的であり類似のタンパク質KIF3A及びKIF3Bとの結合は確認されなかった。KIF3CはKIF3Aとヘテロな結合をしているkinesin-2のサブユニットである。KIF3Cが結合する小胞を単離しそのSNARE,及び積み荷の解析を行った結果、golgin-84とKIF3Cの結合は小胞体からゴルジ体への正方向の輸送に関わっていることがわかった。我々の結果は、KIF3AとKIF3Bで構成されるkinesin-2がゴルジ体から小胞体への小胞輸送を担うのと対称的にKIF3AとKIF3Cで構成されるkinesin-2は小胞体からゴルジ体への小胞輸送にかかわることを強く示唆する。一方CASPのゴルジ体局在ドメインはbet1との結合がtwo-hybrid法で明らかになった。この結合はin vitroのpull-down法で確認された。これらの結果について現在解析を続行している。
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