脂質ラフトにおけるシグナル伝達機構の解析

2010 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 20570117
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 構造生物化学
• 研究機関: (財)東京都医学研究機構
• 研究代表者: 笠原 浩二 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (60250213)
• 研究期間 (年度): 2008 – 2010
• キーワード: 脂質ラフト / ガングリオシド / シグナル伝達

研究概要

私たちはガングリオシドGD3抗体R24が初代培養小脳顆粒細胞からsrcファミリチロシンキナーゼLynが共沈すること、また初代培養小脳顆粒細胞をR24で処理するとLynが活性化しいくつかの基質のチロシンリン酸化をおこすことを報告し、ガングリオシドGD3がLynと機能的に会合していることを示してきた。本研究で、初代培養小脳顆粒細胞をR24で処理するとパキシリンの118番目のチロシンリン酸化を促進し、Fアクチンの集合および神経突起伸長をおこすことを見出した。小脳成長円錐膜画分をR24で処理すると68kDaタンパク質の強いチロシンリン酸化がおこり、パキシリンの118番目のチロシンリン酸化と同じ移動度を示した。パキシリンのチロシンリン酸化は、アクチン細胞骨格に依存した細胞の形態を調節することが知られている。ガングリオシドGD3によるシグナル伝達は、パキシリンのチロシンリン酸化を介する成長円錐の形態に関わっている。

研究成果

• [雑誌論文] Ganglioside GD3 monoclonal antibody-induced paxillin tyrosine phosphorylation and filamentous actin assembly in cerebellar growth cones (2011)
  • 著者名/発表者名: Yuyama K, Sekino-Suzuki N, Yamamoto N, Kasahara K
  • 雑誌名: J.Neurochem. 116 ページ: 845-850
  • 査読あり
• [雑誌論文] G protein alpha o UCSD-Nature Signaling Gateway (2011)
  • 著者名/発表者名: Kasahara K, Ui M
  • 雑誌名: Molecule Pages (Published on line) ページ: doi:10.1038/mp.a000976.01
  • URL: http://www.signaling-gateway.org/molecule/query?afcsid=A000976
  • 査読あり
• [雑誌論文] Impaired clot retraction in factor XIII A subunit-deficient mice. (2010)
  • 著者名/発表者名: Kasahara K, Souri M, Kaneda M, Miki T, Yamamoto N, Ichinose A
  • 雑誌名: Blood 115 ページ: 1277-1279
  • 査読あり
• [雑誌論文] 三量体Gタンパク質と脂質ラフト (2009)
  • 著者名/発表者名: 湯山耕平、鈴木直子、笠原浩二
  • 雑誌名: 生体の科学 60(3) ページ: 181-186
• [雑誌論文] 脂質ラフトと3量体Gタンパク質 (2008)
  • 著者名/発表者名: 湯山耕平、鈴木直子、笠原浩二
  • 雑誌名: 蛋白質核酸酵素 53(12) ページ: 1558-1563
• [学会発表] Involvement of ganglioside GD3-enriched detergent-resistant membrane rafts in growth cone morphology. (2010)
  • 著者名/発表者名: Kasahara K, Sekino-Suzuki N, Yuyama K
  • 学会等名: 4th International Society of Neurochemistry Special Neurochemistry Conference "Membrane Domains in CNS Physiology and Pathology"
  • 発表場所: Italy(invited)
  • 年月日: 20100522-20100526
• [学会発表] 凝固XIII因子Aサブユニット欠損マウスでは血餅退縮反応が欠如する (2010)
  • 著者名/発表者名: 笠原浩二、惣宇利正善、兼田瑞穂、三木俊明、山本正雅、一瀬白帝
  • 学会等名: 第33回日本血栓止血学会学術集会(第33回日本血栓止血学会学術集会優秀ポスター賞受賞)
  • 発表場所: 鹿児島
  • 年月日: 20100422-20100424
• [学会発表] Factor XIII-Dependent-Clot Retraction and -Fibrin Translocation to Platelet Rafts (2010)
  • 著者名/発表者名: Kasahara K, Kaneda M, Miki T, Iida K, Suzuki H, Yamamoto N, Arai M, Souri M, Ichinose A
  • 学会等名: 第83回日本生化学会
  • 発表場所: 神戸(ワークショプ)
  • 年月日: 2010-12-09
• [学会発表] 血小板脂質ラフトに局在するトランスグルタミナーゼ基質 (2009)
  • 著者名/発表者名: 笠原浩二、兼田瑞穂、三木俊明、鈴木英紀、小嶋聡一、新井盛大、一瀬白帝、山本正雅
  • 学会等名: 第32回日本血栓止血学会学術集会
  • 発表場所: 小倉
  • 年月日: 20090604-20090606
• [学会発表] 血液凝固XIII因子に依存した血餅退縮とフィブリンの血小板脂質ラフトへの移行 (2009)
  • 著者名/発表者名: 笠原浩二、兼田瑞穂、三木俊明、鈴木英紀、新井盛大、一瀬白帝、山本正雅
  • 学会等名: 第2回セラミド研究会
  • 発表場所: 札幌
  • 年月日: 2009-11-06
• [学会発表] フィブリンの血小板ラフト移行と血餅退縮 (2008)
  • 著者名/発表者名: 兼田瑞穂、三木俊明、飯田和子、入江 敦、鈴木英紀、新井盛大、一瀬白帝、山本正雅、笠原浩二
  • 学会等名: 第28回日本糖質学会年会
  • 発表場所: つくば
  • 年月日: 20080801-20080803
• [学会発表] フィブリンの血小板脂質ラフト移行と血餅退縮における働き (2008)
  • 著者名/発表者名: 兼田瑞穂、三木俊明、飯田和子、入江敦、鈴木英紀、小嶋聡一、新井盛大、一瀬白帝、山本正雅、笠原浩二
  • 学会等名: 第81回日本生化学会大会
  • 発表場所: 神戸
  • 年月日: 2008-12-10
• [学会発表] フィブリンの血小板ラフト移行と血餅退縮 (2008)
  • 著者名/発表者名: 笠原浩二、兼田瑞穂、鈴木英紀、小嶋聡一、新井盛大、一瀬白帝、山本正雅
  • 学会等名: 第31回日本血栓止血学会学術集会
  • 発表場所: 大阪
  • 年月日: 2008-11-21
• [図書] 「膜ラフト」生化学事典
  • 著者名/発表者名: 笠原浩二
  • 出版者: 朝倉書店(印刷中)