研究課題/領域番号 |
20570118
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
近藤 英昌 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (80357045)
|
研究分担者 |
西宮 佳志 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (00357716)
津田 栄 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究グループ長 (70211381)
星野 保 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究グループ長 (60357944)
|
キーワード | 生物物理 / 微生物 / X線結晶構造解析 / 不凍タンパク質 |
研究概要 |
不凍タンパク質は氷結晶に特異的に結合し、その成長を抑制する性質を有している。本研究では低温環境下に生息する菌類や珪藻類、バクテリアなどの好冷性微生物に共通して存在している不凍タンパク質ファミリーの立体構造と不凍機能を解析することによって、氷結晶結合メカニズムと分子進化に関する知見を得ることを目的とする。 本年度はバクテリア(Colwellia sp)由来不凍タンパク質を結晶化し構造解析を行った。その結果、この不凍タンパク質の骨格構造は、昨年度までに解析した好冷性担子菌イシカリガマホタケの不凍タンパク質と類似したものであることが明らかとなった。一方、これら二つの不凍タンパク質の不凍活性には大きな差異があることがわかっている。このことから分子表面に位置する残基のうち、アミノ酸配列の相同性の低い部位が不凍活性へ関与する部位であることが示唆された。 また、一つの微生物には、アミノ酸配列にわずかに差異がある不凍タンパク質のアイソフォームが多種類存在することが知られている。本年度はイシカリガマホタケ不凍タンパク質の複数のアイソフォームを遺伝子組換えタンパク質として取得し、詳細な機能解析を行った。その結果、これらアイソフォーム間にも不凍活性と氷結晶への特異性に大きな差異があることが明らかになった。前述の結晶構造解析と同様に、アミノ酸配列の異なる部位が不凍活性の違いに関与していることが示唆された。 以上のことから、好冷性微生物に由来する不凍タンパク質には、不凍タンパク質の基本的な性質の発現に寄与する共通した分子骨格構造が存在し、局所的なアミノ酸の置換によって生育環境に応じた不凍機能を特化させている可能性が示唆された。
|