研究課題/領域番号 |
20570120
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
秋山 正志 国立循環器病センター(研究所), 病因部, 室長 (30298179)
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研究分担者 |
小亀 浩市 国立循環器病センター(研究所), 脈管生理部, 室長 (40270730)
武田 壮一 国立循環器病センター(研究所), 心臓生理部, 室長 (80332279)
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キーワード | ADAMTS13 / VWF / 結晶構造 / エクソサイト |
研究概要 |
ADAMTS13によるVWF切断機構の分子基盤を明らかにするために、プロテアーゼドメインのC末端側でVWF認識に関わると考えられる領域ADAMTS13-DTCS(Arg287-Ala685)の立体構造を、X線結晶構造解析法により決定した。まず、動物細胞の分泌発現系を用いてADAMTS13-DTCSを調製し、結晶を作製した。次に、SPring-8においてX線回折強度データを取得し、立体構造を決定した。その結果、(1)ディスインテグリン様ドメイン全体とCys-richドメインのN末側領域では、互いに一次構造の相同性は低いにもかかわらず、折り畳み構造は同一であること、(2)TSP-1ドメインの立体構造はトロンボスポンジンtype-1 repeatの構造とよく一致すること、(3)スペーサードメインは10本のβストランドからなる明確な構造(βサンドイッチ構造)として機能していることが明らかになった。さらに、決定した立体構造を基にして、分子表面に露出したループ領域や、疎水性あるいは荷電アミノ酸残基のクラスター領域に変異を導入したADAMTS13を作製し、活性をFRETS-VWF73を用いて測定した。その結果、ディスインテグリン様、Cys-rich、スペーサードメイン上に存在する、空間的に隔たった複数の領域がエクソサイトとして働くことが推定された。以上より、ADAMTS13のDTCS領域が、ずり応力等でほどけたVWFを広範囲で認識することで、VWFへの特異的な親和性を高めていることが示唆された。
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