研究課題
ADAMTS13によるVWF切断機構の分子基盤を明らかにするために、メタロプロテアーゼドメインのC末側に隣接し、VWFの切断に必要とされる領域、ADAMTS13-DTCS(Arg287-A1a685)の立体構造を、X線結晶構造解析法により決定した。結晶構造の精密化を行い、格子定数の異なる2種の結晶構造をProtein Data Bankに登録した。さらに、VWF結合エキソサイト領域を同定するために、決定したADAMTS13-DTCSの立体構造を基にして、様々な変異を導入したADAMTS13を作製し活性を測定した。その結果、空間的に隔たった複数の領域がエキソサイトとして働き、ずり応力等でほどけたVWFを広範囲で認識することで、VWFへの特異的な親和性を高めていること可能性を明らかにした。これらの研究成果を精製・結晶化プロセスと構造と機能とに分けて二つの論文として発表するとともに、国内外の学会で発表した。さらに、ADAMTS13のメタロプロテアーゼドメインの構造を決定するために、メタロプロテアーゼドメインを含む領域(A1a75-A1a685)を発現する哺乳動物細胞の発現ベクターを作製し、安定発現株を構築した。また、後天性の血栓性血小板減少性紫斑病の原因となるADAMTS13活性を阻害する中和抗体の阻害機構を明らかにするために、中和抗体のFab断片とADAMTS13との共結晶化を試みた。
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