研究課題/領域番号 |
20570120
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
秋山 正志 独立行政法人国立循環器病研究センター, 分子病態部, 室長 (30298179)
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研究分担者 |
小亀 浩市 独立行政法人国立循環器病研究センター, 分子病態部, 室長 (40270730)
武田 壮一 独立行政法人国立循環器病研究センター, 心臓生理機能部, 室長 (80332279)
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キーワード | ADAMTS13 / VWF / 結晶構造 / P475S遺伝子多型 |
研究概要 |
我々は、昨年度までにADAMTS13のメタロプロテアーゼドメインのC末側に隣接し、VWFの切断に必要とされる、ディスインテグリン様ドメインからスペーサードメインまでの4つのドメインからなる領域、ADAMTS13-DTCS(Arg287-Ala685)の立体構造を、X線結晶構造解析法によりADAMTSファミリータンパク質で初めて決定した。さらに、VWF結合エキソサイト領域を同定し、空間的に隔たった複数の領域のエキソサイトが、ずり応力等でほどけたVWFを広範囲で認識することで、VWFへの特異的な親和性を高めていることを明らかにした。ADAMTS13-DTCSのCys-richドメイン内には、日本人を含むアジア人に特有の遺伝子多型P475S(c.1423C>T)が存在している。P475S多型の対立遺伝子頻度は日本人において5.1%と高く、P475S変異型ADAMTS13活性は正常型に比べて低いことが分かっている。我々は活性部位から離れた単一アミノ酸置換が、どのようにしてADAMTS13活性に大きく影響するのかを明らかにするために、当該年度においてP475S変異型ADAMTS13-DTCSの結晶構造を決定し、正常型の構造と比較した。その結果、変異型の全体的な立体構造は正常型とほとんど同じであるものの、変異箇所の周辺の構造が局所的に変化し、変異が存在するループを構成するアミノ酸残基の相互作用が大きく変化することが分かった。このループはCys-richドメイン上に同定されたVWF結合エキソサイトと立体構造的に隣接し、P475S変異がVWFのADAMTS13への結合を弱め、切断活性が低下する可能性が示唆された。
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