研究概要 |
GM3合成酵素(GM3S)欠損マウスはインスリンレセプターの恒常的な高リン酸化の状態を示すことが既に示されている(Yamashita T et.al. PNAS., 2003 100(6) : 3445-9. )。このマウスは、酸素消費量を指標とした基礎代謝量が上昇していること、骨格筋や脂肪における脂肪酸や酸化酵素やエネルギー代謝に関わる分子の発現に変化があることが期待される。これら分子を精査し、糖鎖異常とメタボリックシンドロームとの関係を明らかにする。当該マウスは、GM3ガングリオシドを欠損しているが、生体内でこの糖脂質と結合する分子の存在が示唆される。例えば、GM1ガングリオシドには、神経に親和性のあるコレラトキシンβサブユニットの結合が知られており、GM1ガングリオシド以外のガングリオシドにも毒素等に親和性のある物が見いだされている。そこで、まずは、重量比で糖脂質が最も多く含有する脳においてGM3ガングリオシドと結合する分子の探索を行なった。この結果、神経に結合する塩基性ミエリンタンパク質が検出された。今後更に検出感度を高め、異なる分子の同定を実施する。また、GM3合成酵素(GM3S)欠損マウスにおけるインスリンレセプターの恒常的な高リン酸化の状態を示す臓器である、骨格筋においてそのターゲット分子の補足を試みる予定である。これら捕捉された分子から創薬に繋がる分子の同定を試みる。また、胚性致死を示すG1cT-1遺伝子のfloxマウスと膵特異的Creマウスと脂肪特異的Creマウスの作製を12月末より開始した。これらマウスに関しては、平成21年8月頃よりデータの収集が可能になる予定である.
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