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2011 年度 実績報告書

レギュレータープロテオミクスによる新規の筋分化因子およびユビキチン化装置の探索

研究課題

研究課題/領域番号 20570123
研究機関千葉大学

研究代表者

田村 隆明  千葉大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30112692)

キーワード筋分化 / ユビキチン化 / TIP120 / SCF / MyoD / 筋萎縮
研究概要

本研究課題では、筋肉におけるタンパク質分解の新たな制御機構、制御因子の発見を念頭に、特にユビキチン-プロテアソーム系に注目して研究を行った。筋肉はタンパク質分解の盛んな組織であり、骨格筋はある種の疾病や神経切断、筋肉の不使用などにより急速に委縮する。研究代表者らはこれまでの研究により、培養化された筋管細胞において、筋分化因子の一つマイオジェニンが急速に分解され、そこにユビキチンリガーゼであるSCF複合体が関与する事を明らかにしている。SCFはSkp1,Cul1,F-boxタンパク質からなるが、Cul1は触媒活性をもち、F-boxタンパク質は標的タンパク質結合という標的特異性に関る部分で、Skp1はCul1とF-boxタンパク質を連結している。さらにTIP120BはCul1と結合し、それによってSCF複合体を解離させるというユビキチン化にとって負に働く因子である。以上のような背景を踏まえ、本年度の研究では以下のような成果が得られた。TIP120B遺伝子の遺伝子発現についても検討した。その結果、ヒトやマウスのいずれのTOP120B遺伝子においても、上流部分のMyoD結合配列が転写に正にかかわり、MyoD因子が実際に転写の上昇に関わることが示唆された。C2C12細胞の分化において、TIP120B、MyoD、マイオジェニンの遺伝子発現、タンパク質量が増加し、逆にDEXによる筋萎縮操作ではTIP120Bの遺伝子発現が下がり、MyoDでは遺伝子発現の変化は少ないもののタンパク質量の低下が見られた。マウスやヒトのTIP120BプロモーターがMyoDで活性化され、プロモーターには複数のMyoD結合配列が見出された。いくつかのMyoD結合配列に関しては、実際にMyoDが結合する事が確かめられ、結合と転写活性化の関連も示された。この現象がクロマチン上でも起こることがChIP解析で確かめられた。MyoDは細胞内では不安的なタンパク質であるが、興味ある事に、TIP120Bはその安定化に働いている事が示された。以上の結果より、TIP120BとMyoDの間には制御における正のフィードバックループが存在し、両者が協調して筋分化促進に関わる事が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Mouse Wee1 Gene Is Repressed by Kruppel-Like Factor 3 (KLF3) via Interaction with Multiple Upstream Elements2012

    • 著者名/発表者名
      北村拓也、鈴木秀文、田村隆明
    • 雑誌名

      Gene

      巻: 492 ページ: 361-367

    • DOI

      10.1016/j.gene.2011.11.016

    • 査読あり
  • [雑誌論文] TATA-Binding Protein (TBP)-like protein is required for p53-dependent transcriptional activation of an upstream promoter of the p21^<Waf1/Cip1> gene2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木秀文、伊藤亮、池田香織、田村隆明
    • 雑誌名

      The Journal of Biological Chemistry

      巻: (印刷中)

    • 査読あり
  • [学会発表] 筋分化制御においてTIP120BとMyoDの間に見られる正の相互活性化機構2011

    • 著者名/発表者名
      鈴木秀文、鈴木あい、前川由惟、田村隆明
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011-12-15
  • [図書] わかる、身につく、生物・生化学・分子生物学2011

    • 著者名/発表者名
      田村隆明
    • 総ページ数
      308
    • 出版者
      南山堂

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公開日: 2013-06-26  

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